kyosukemunch質問という外部刺激を受ける度に京介先生は成長していくのです。
何かを聞かれる事は彼の大好物。

不定期ながらも今後も続けていく予定です。
もし何か疑問があるのであれば、コメント欄やメールにてよろしくお願いします。
「京介先生、質問してあげてもいいですよ」という気持ちでどうぞ。



lastyear

JRDB金子京介メルマガ ~読める男の競馬論~

重賞の調教について、コメントと評価を掲載しております。
フェアリーS

シャンボールフィズ:D

併せ馬の左側。鞭は抜いたが追うフリのみ、持ったままの相手に対し忙しなく
追っ付ける。最後は併走やや劣勢。
コーナーでも前肢を大きく振り出し、後肢もやたら暴れる。もっと楽に走りた
いのに、ロスがある分スムースに勢いに乗れない様子。
走りにバネがあってセンスは悪くないが、まだトモに甘さが残っているためだ
ろう。

ターフデライト:B

3頭併せの右側。若干内を回った分コーナー抜けて体勢有利、そのまま追って
突き離す。
前脚をモロに開く走りで、後肢の折りも深いが、腰が強く蹴りに力が溜まる。
やや太めもあるが柔軟性やパワーがあり、威力のある走りで、首使いも滑らか
でセンスがある。能力が単純に高い。ここでも。

パストフォリア:A

併せ馬の右側。一切追わず手応え十分、併走状態を維持したまま。
若干併走馬を気にして首を向けてはいるが、変な格好にならず正対も出来てい
て手先も素直に前に伸びる。
後肢の折り畳みや反復の形が良く、可動域が大きいのがいい。楽々スピードを
出せる余白があり、上昇余地も十分。センスも高い。

ダイワミストレス:B

前に先導する馬はいたが、コーナーで置かれて直線も鞍上が手綱引っ張ったま
ま。後半で少し気合を付けたが、前には追い縋れず。
前脚内掻きしてて直線も少し硬さを感じる脚捌き。後肢の折り畳みや回転が小
気味良く、飛節のバネが良く効いている。
伸びの良いタイプとはあまり言えないが、パワーを持ちつつも効率の良い動き
が出来ている。なかなか質の良い走り。

ラシンティランテ:C

併せ馬の左側。併走相手が前半から先に追っ付け始めてこちらも手応えに余裕
あるが、半ばから追ってもそこまで伸びず、逆に劣勢に。
前脚振り出す走りで若干開きがある。前脚の引っ掻きが悪いのか、首が浮き上
がるばかりで前脚に体重があまり乗ってない。
坂上でさらに加速に乗るような形にならず、併走馬に差し返されたのは、その
分もあるはず。平坦の方がいい。
間違いなく乗り難しい所はある。

トーセンベニザクラ:B

併せ馬の外側。シャドーロール。併走相手が先に追っ付けて早々に手応えなく
したが、それを持ったまま外からアッサリパス。
掻き込む回転速いストライド。後肢の戻しが深く、その分蹴りの威力もあり、
次の動作にスムースに移れている。
案外バネがない面もあるが、四肢の回転鋭く体が楽に動くのはプラス要素。栗
東遠征していた時よりも動きは良さそう。


スローペースなら前が強いというのが競馬の基本であるはずですが?

Q: ケイバズキ さんよりの質問

こんにちは。いつも興味深く拝見しています。
さて今年の有馬記念はオルフェーヴルが圧倒的な強さで完勝したわけですが、
どうしても腑に落ちないのがレースラップです。
1000m通過1.03.8、全体ラップ2.36.0(8Rの1000万下が2.33.3)という稀に見るドスローで、
前に行った馬が悉く沈んでいます。
当日の馬場状況や馬の状態・適性なども加味すべきとは思うのですが、こんなことがあるのでしょうか。
スローペースなら前が強いというのが競馬の基本であるはずですが、
あまりに遅すぎると前を行くアドバンテージ<<<追走が楽になるアドバンテージ、になったりするのでしょうか。
こういう結果を見せられると正直何を信じたらいいのか分からなくなってきます。
どうか解説の程よろしくお願いします。

A:

まず、あの有馬記念の決着は、「前に行った馬が沈んだ」と考えてしまってはいけません
トーセンジョーダンは上がり33秒9を使って0.5秒差の5着に踏ん張っています。最後も余力はあったはずです。
ブエナビスタも直線で壁に塞がれた分がありながら、上がりは34.1で0.5秒差。逃げたアーネストリーは、着順こそ10着ですが、0.6秒差です。
先行した各馬は、ちゃんと自分なりの脚を使って粘り込んでるわけです。普通のスローペースであれば、この上がりを使えば十分押し切れる範疇。有馬記念なら粘って当然のように思える上がり3Fです。
事実、その前の年のヴィクトワールピサは、5Fほどのロングスパートだったとは言え、上がり3Fだけなら34.6で押し切ってますからね。

あの有馬記念は、どちらかと言えば、「末脚がさらに鋭い差し馬に捕まってしまった」と考えるべき流れです。
ラップで言うと最後の3F、11.4-11.3-11.3になっているラスト2F→1F目。あの中山の上り坂は、普通の有馬記念であれば「お互いに消耗した最後に、惰性に乗って押し切る箇所」のはず。
しかし、11.3→11.3と、「中山の上り坂で、3~4コーナーの時の下り坂以上に思いっきり加速を付け、最後もトップスピードを維持したまま走り抜く」必要があった
これがまず、ゴリ押し型の先行馬にベストの流れにならなかった大きなポイントです。

次に、どの馬も抜きん出た能力を持たない条件クラスであれば、スローペースなら先行している馬の方が有利。これが競馬の基本です。
しかし、ここは日本一を決めるG1の舞台。当然、「日本一になる体力がある先行馬」「現在日本一のスピードを持ってるかもしれない逃げ馬」「日本一の瞬発力を持っている差し馬」それぞれ、強烈な個性を持つキャラが集まって来る場面ですよね。
これらの馬が、それぞれ「全馬が力を出し切るような形」ではなく、「相手の個性を封じようとして戦った」場合、いわゆる「競馬の基本」では説明しきれない、特殊な現象が起こってしまうというわけです。
その大きな原因として、先程挙げた逃げ馬・先行馬・差し馬がそれぞれ、体型及び持ち味が大きく異なることが挙げられます。
それぞれの個性が極端に異なり、一番能力ピークを発揮できる場面が全く違うので、個性を最大限に活かせた場合と持ち味を封じられた場面とでは、結果が大きく変わってしまうのです。
(G1で人気馬→無条件に人気薄へ流す馬券作戦が、未だに通用するのも、こう言う仕組みがあってこそです)

今回は、前に行ったアーネストリーやヴィクトワールピサは、楽なペースの先行が可能なメンバーだったとは言え、前走で大敗した直後です。
キッチリ仕上げられたとは言え、乗っている鞍上が、「激しいペースに巻き込まれるのは避けたい…消耗せずセーブしてレースを進めたい…」という心理が働いたのでしょう。
しかし、あそこまで究極のスローペースに持ち込み、ギリギリまで引き付けてゴール前まで余力を残すような仕掛けをしたわけですが、そうするとアーネストリーは持ち前のパワーが活きません。ヴィクトワールピサも、トビの大きさが逆に仇になってしまいましたね。
むしろ、団子状態で馬群が凝縮したために、後ろから進んだ馬でも先頭との距離はせいぜい4馬身程度。逆に、瞬発力に長けたタイプが十分に間に合うレース展開となったのです。
オルフェーヴルとエイシンフラッシュは、中肉中背と言える体つきで、脚の回転の速さが持ち味。中山の直線の上り坂に差しかかっても、さらに加速が必要なラップだったので、最大限に強みが活きた…という形です。

一応今回の有馬記念の私見を長々と述べてみましたが、自分が感じていることとして、「究極の才能が集まる古馬G1レースで、『競馬の基本』に拘り過ぎるのは良くない」という考えがあります。
人々の固定観念を打破し、驚きを見せるほどの力を見せつけ、歴史を作って行く馬こそが歴代のG1を勝ち続けています。
同時に、何だかんだで昨年2011年のG1レースは、ダートG1を逃げて2勝したトランセンドを除き、全て4番手以下の位置取りで進んだ差し馬が勝っています。ペース云々に関わらずです。

「競馬の基本」の考えに、ペースがどうなったから例外的にこう…といった修正を加えるように考えるのではなくて、「このレースはG1レースだったからこそ、競馬の基本から外れる決着になりやすい場面」だと考えてもらった方が納得感があるかと思います。
競馬の基本としてイメージしているものは、あくまで膨大な例を遡って見つけた「パターン理論」であるだけですから、王道パターンとなる条件が整わない場面では、その理論を裏切る可能性が起きやすい、そう行った構図があると考えるべきですね。
もちろん、自分らのように予想を売り物にしている立場からは、「驚くべき事象」が衆目を集めるG1で起きてしまうのは、正直勘弁してもらいたい所があるんですが。